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執筆者の写真早大 映研

『花束みたいな恋をした』レビュー

 こんにちは。2年の永岡です。本日は『花束みたいな恋をした』のレビューをお送りします。


 『花束みたいな恋をした』は2020年に公開された、土井裕泰氏が監督、坂本裕二氏が脚本を務めた恋愛映画です。


 私は当時映画館で、そして最近U-NEXTでレンタルし、再度見直しました。映画はなんでもそうかもしれませんが、やはり毎回みるたびに違う感想が出てきますね。この作品は特に私の中でモヤモヤが残った作品だったので、そのモヤモヤの流れについて語ることができればと思います。ここからはネタバレを含むので、読み進めるのは自己責任でお願いいたします。


 登場人物は趣味が合うカップルの麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。2人は小説や映画、音楽の好みが驚くほど一緒なのがきっかけで付き合うことになります。しかし、麦と絹の仕事に関する考え方、生活のスタイルにずれが生じ始め、2人は別れることで物語が終わります。


 私は、最初に見た時の感想としては、「終わりから最後まで何も成長してないじゃん!何を伝えたかったんだこの映画は!」というものでした。麦と絹の出会いは、終電に乗り遅れたことから始まり、もうひと組の男女と一緒に飲みに行きます。その中で、女性は「映画では実写の魔女宅が好き」(セリフ大体です。すみません。以下も同じく)と言いますが、それに対して、麦と絹は2人だけになった時に、「魔女宅好きって、しかも実写って…」と呆れたような、その女性を見下したようなセリフを言います。他にも、押井守監督がその飲みの場に偶然居合わせるのですが、もうひと組の男女は押井監督のことを知らず、麦と絹は「そんなのありえない!」と声を揃えて言います。このことから、私は、2人が、自分たちが好きなもの、自分たちの感覚が当たり前だという考えが強すぎるように見えました。特に、付き合う前(しかも出会って初日)絹は、麦と2人で飲みに行った時に、自分とは明らかに価値観が違いそうな女性たちと麦が話しているのをみると、急に機嫌を悪くします。このようなことからも、自分と価値観が合わない人とは付き合いたくない、バカにする、という感覚があるのかな、と感じていました。


 出会った時はたまたまこの2人の価値観が合っていたものの、だんだん2人の価値観がずれていきます。そして、2人の生活の価値観がずれた途端、2人の生活は驚くほどうまく回らなくなるのです。そして結局2人は別れるに至ってしまうのです。

 この流れから、私としては、「え!?どっちも成長せずに終わった…。結局自分と価値観の合わない人と一緒に入れないだけだったじゃん。他人の考え方とか受け入れられない人、で終わってんじゃん」という感覚に陥りました。


 本作品は、多くの人が「エモかった」「私も映画の半券しおりにしたいと思った」など、麦と絹の生活に憧れを抱いたという感想を寄せています。その一方で、私と感想は違えど、この映画の感覚に違和感を覚えた方も一定数いるでしょう。


 しかし、「エモかった」「憧れる」と友人が私に感想を述べたときに、「あ、この人と私は価値観合わないかもしれん…仲良くできるかな」と思ってしまったんですよ。たかが映画一本の感想でですよ。私も、結局自分と価値観が合うかどうかを見定めてしまっていたのです。結局、この作品は、私のような、「ちょっと人より違う見方してるんで」、「流行りのものとかあんまり興味ないんで」、「俳優目当てじゃなくて坂本裕二が脚本だから見にいくんで」みたいな、「ちょっと達観してるんですよ私」という人間に一石を投じる、悩ませる、混乱させる映画だったのではないかと思いました。


 これは私が本作品を1回目に見た時の感想です。2回目に見た時はまた別の感想を持ったので、また機会があればお話しさせていただきたいです。


 ではまた今度〜。


永岡

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